カリフォルニアはハワイではない

翻訳業を営みながらサンフランシスコ、LA、日本を往復する日々の中で見つけた小さな発見をつづります。

Train of Thought

母国語であっても他言語であっても

言語の学習には終わりというものがなく、

それが嬉しくもあり悲しくもある。


さて、会社である書面を翻訳していたところ、

今まで目にしたことがなかった新しい言い回しが出てきた。

”Act like you forgot what to say and lost your train of thought.”

(自分が言おうとしていたことや考えていたことを忘れてしまったかのように演技してください。)

 

Train of thought... 思考の列車... 

なんとも詩的で深みのある言い回し。

銀河鉄道999が頭に浮かんでくるのはなぜだろう。

 

疑問に思ったのはなぜ「train of thoughtS」というふうに

「THOUGHT」という名詞が複数形にならないのかという点だ。

頭でイメージしていたのは、

複数の車両でつながっているような列車の図だ。

その車両がここでいうところの「思考や考え」であり、

様々な思考が複数連なることで「思考の列車(脈略・つながり)」、

つまり「train of thoughtS」となるのではないかと思ったのだ。

 

アメリカ人の同僚に聞いてみたところ、

ここでの「thought」の使い方は、

1つ1つの考えや思考を指すのではなく、

概念としての「考えることそのもの」を指しているため

単数形が用いられているそうだ。

 

それを聞いてもなお、

自分の頭の中にはさまざまな「思考」の車両が無数につながっていて、

それが1本の列車となって絶えず脳内を走り回り、

時には車両が増えたり減ったり、

車両の中の乗客が下りたり乗ったりしている、

と考えた方が夢があるような気がするのは私だけだろうか。